イベント好きエンジニア鈴木さんのブログ

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日本は「変」であることが強みだ【SXSW2019】

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はじめに

今回は、SXSW(サウスバイ・サウスウエスト)2019の所感を書こうと思います。

SXSWに行くのは今回が初めて。 国内でみるとまだ知名度は高くないようですが、スタートアップ界隈ではそれこそ見たことのないものが次々と見つかるパラダイスのようなイメージを持って語られることが多いです。 周りの人に意気揚々と、

「SXSW行くんだ!」

って言ったら、

「なにそれ?」

って言われる率が高くびっくりしました(5人中4人くらいから言われるイメージ)。 だからこそ、日本では見られない新しいプロダクトやカンファレンスへの期待に胸を馳せて出発しました。

行ってきた印象

帰国した今振り返ってみて、印象に残ったものが2つあります。 ひとつは電動キックスケーター、もう1つは日本企業の展示でした。 テキサスまで10時間以上も飛行機に乗っていった感想が日本の展示面白いとはなんとも皮肉なもんだとも思います。 正直、日本人SXSWに期待しすぎなのでは感がありますが、今回はこの日本の展示について書こうと思います。

日本の展示は変

私が日本の展示で感じた印象は「変」だということでした。

まず、SXSW2019の「変」なものの筆頭として挙げられるものが、The New Japan Islandsです。

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施設の近くまできて目立つのは反対になった赤と白の円錐台。 日本人が見たら赤富士を逆にしたものだろうなーとわかります。 ほかにもハニワ、フォークリフトに工事中の看板まで。 最初はまだ工事中なのでは? と思ってしましたがそう言う展示でした。

靴を脱いで入ると、畳の床、ギラギラした色をした魚のCG、さらに奥に行くとパチンコやパックマンDDRといったアーケードゲーム、カンファレンスは真ん中でコタツに入って話す、といった日本人にとってはすごく変な空間が、そこにはありました。

テーマは"Digitally Fermenting Landscape"(発酵するデジタル空間)、というコンセプトから察するに狙ってやっていることはわかります。

次に紹介したいのがTrade Show。 コンベンションセンターで行われた企業の展示会です。CEATECやJapan IT Weekみたいなイメージに近い感じの展示です。

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個人的にコンベンションセンターの中で最も変なことをやっていたと思うのは「電通」ブース。 まずは、自分の顔と文字を組み合わせてハンコを作るHanko-han。実際にハンコも作れるようでしたが、15分に1本しかできないとのことでハンコそのものの作成は断念。 専用のアプリを使えばハンコの模様から顔が浮き出てくるAR機能付きというもの。 ほかにも去年もあったと言われる3Dプリンターで作る寿司(Sushi Singularity)や男性が授乳を体験できる機械なんかがありました。

hankohan.com

バンダイナムコの展示もインパクトがありました。THE AI GAMERは、ひたすらゼビウスをプレイするロボット。見た感じDQNを使って学習させた結果をロボットが物理的にコントローラで操作しているという仕組みなのでしょう。

日本のスタートアップ企業も興味深いものがありました。その中でもスケールがでかいと思ったのがALE株式会社。 この企業でやろうとしている事業が人工的に流れ星を作るというもの。人工衛星から流れ星の種を飛ばして流れ星を作りだすらしく、イベントの演出の利用を想定しているのだとか。

他にも、NTTのME-HADALevioPoleなんかも印象的でした。

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変であることで勝負する

いくつか日本発の展示を紹介しました。そして、それらが「変」だと書きました。 変であるということは、言い換えれば「他がやっていない」ものであり、ひいては競争力をもつ可能性があるものであることになります。 だから、世界中の企業があつまる場で「変」なものを出すことができる日本の発想力は世界で勝負できるものなのではないか。

私が今回SXSWで得たものは、この「日本は変であることで勝負できる」という感覚です。

よく日本が日本独自のもので勝負するという話をすると大概はオタク向けコンテンツだとか、歌舞伎や桜といったものが挙げられます。 そういったものは形あるのでわかりやすいということもありますが、本当に勝負できるものはもっと根本的なところにあるんじゃないかと思いました。

ここまで「変」という言葉をポジティブに説明をしてきましたが、一方で「変」に含まれる「他と違うことによる恥」という意味合いも無視はできません。 長く「不景気だ」「世界から遅れを取ってきている」と言われ続けてきた日本人のコンプレックス、つまり海外と違うことによる恥も、この展示にはにじみ出ているような気がしました。 ただ、私はこれこそがエネルギーとなりうるのではないか? とも思います。 なぜなら、コンプレックスが生み出す原動力は強いからです。 物語の主人公の多くはコンプレックスを解消させるために行動し、ストーリーが展開するようにコンプレックスは魅力的なものを生み出すために必要なものだと考えます。 日本は日本が持つコンプレックスに向かい合ったほうがいい。 臭いものだとして蓋をしてきたものにちゃんと向き合ったほうがいいんだろうなと思いました。

ま、私も臭いものに蓋したものばっかだけど……